夜中に突然起こる金縛り。なぜ金縛りが起こるのか、どうやったら対処できるのを知ることで回避することができます。
金縛りとは
金縛りは医学的には「睡眠麻痺」と呼ばれ、睡眠時に全身の脱力と意識の覚醒が同時に起こる状態で、一種の睡眠障害です。症状としては、人が上に乗っているように感じる、自分の部屋に人が入っているのを見た、耳元でささやかれた、体をさわられているというような幻覚をともなうことがあります。
また、この「金縛り」というちょっと怖い呼び方は、仏教用語の「金縛法(きんぱくほう/かなしばりほう)」から由来します。不動明王が敵の動きをとめるためにかける秘法が「金縛り」であり、夜寝ているときに身動きがとれない状態と似ているため、このような名前になったそうです。
金縛りの心霊現象
こどもの頃は金縛りは心霊現象だと思っていた方も多いかと思います。実際、若い方に起こりやすいそうです。寝ているときに起こりやすいので、暗い室内ではまるで幽霊でも見たのかと思われたのかもしれませんね。
実際の体は動けないのに夢の中の自分がまるで現実のように動いているため幽体離脱したと考える人もいるようです。
金縛りの原因
金縛りは不規則な生活、寝不足、過労、時差ぼけ、ストレスなどから起こると考えられています。睡眠にはレム睡眠(脳は起きていて体が寝ている状態:浅い眠り)とノンレム睡眠(脳は寝ていて体が起きている状態:深い眠り)があります。金縛りが起こるのはレム睡眠の時です。
レム睡眠のときに夢を見るのですが、夢を見ているとき脳は活動していますが、このとき体は休んでいる状態です。したがって、脳は起きているのに体を動かすことができない状態のときに金縛りの症状が起きてしまいます。
レム睡眠のときに呼吸を止めてしまうこともあり、それで強い息苦しさを感じたり、胸部に圧迫感を感じたりします。また手足を動かされる感じる場合もあり、そのため誰かに押さえつけられている感覚になり、このような幻覚や夢を見るようです。
普段あまり運動をしない人が突然運動をしたときなどに起こりやすく、特に有酸素運動は金縛りを誘発しやすくなります。
また旅行中などは環境が変わり体が疲れているため宿泊先で金縛りを起こしやすく、そのため「このホテルでは幽霊が出る」という噂話が出るようです。
金縛りには大きくわけて閉目型と開眼型の2種類があり、ほとんどの場合は閉目型です。実際には目を閉じているにもかかわらず、普段の室内の記憶や、寝る直前の記憶が鮮明な夢となって映し出されます。体は寝ているのに脳が起きているため夢を実際の映像と混乱してしまいます。
金縛りを防ぐ方法
仰向けで寝ると体がゆるみレム睡眠に入りやすくなります。人は入眠する際にノンレム睡眠から始まるので、逆のレム睡眠から入眠しれしまうと睡眠バランスを崩してしまいます。金縛りを起こしやすい人は横向きになって寝るのがいいでしょう。抱き枕があるといいですね。
脳が興奮しすぎても金縛りを起こしやすくなります。普段と違うリズムになってしまう旅行、時差ボケなどが睡眠のバランスを崩します。寝る前にはリラックスした状態になるように工夫しましょう。
枕が高すぎたり、低すぎたり、布団が重すぎたりしてもよい睡眠を妨げます。パジャマがきついなども原因になります。寝る時の状態を確認してみましょう。
寝る時に胸やおなかの上に手を置かないようにします。猫がおなかの上に乗るものよくないので気をつけます。
金縛りの対処方法
金縛りになった際には、どのように対処すればよいのでしょうか。
- 指などの体のどこか動かせる部分があれば、ゆっくり動かします。
- 目だけでも動くなら目をキョロキョロさせます。
- ゆっくり呼吸をします。
- どこも動かなければ慌てずに、そのままもう一度眠ります。
無理に動こうとすると体力を消耗するので、再度寝てしまうのが一番よいようです。
金縛りに関連する病気
日中に強い眠気の発作を起こす「ナルコレプシー」という脳疾患があります。睡眠障害の一種で別名「居眠り病」、「過眠症」とも呼ばれています。15歳前後に発症することが多いです。40代以降に発症するケースはほとんどありません。
無意識に寝てしまう、寝ながら作業をしている、夜何度も目を覚まし熟睡できないなどの症状があります。この場合は「心療内科」「精神科」「神経科」といった専門機関を受診することをおすすめします。
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まとめ
名前のせいでなにか怖いもののようになってしまった「金縛り」。疲労やストレスによって起こりやすくなるので、快眠のための工夫が必要です。原因になりやすいものをひとつずつ取り除いて、ゆっくり眠れるといいですね。