エッセンシャルオイルの歴史と日本名(和名)

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エッセンシャルオイルは香料として使われているだけでなく、殺菌や消臭などさまざまな効果があります。その歴史は古く、古代エジプトまでさかのぼります。日本に入ってきたのは仏教伝来と同時期と考えられています。信仰と密接な関係があるエッセンシャルオイルの歴史と日本名(和名)についてお伝えします。

エッセンシャルオイルの信仰との関わり

エッセンシャルオイルは、植物の花部や葉茎部、そして幹や木の皮、根の部分などから水蒸気蒸留、あるいは抽出などにより得られた、香りを有する油のことです。多くの科学成分を含有し、付加価値の高い天然香料です。

古代バビロニア人とアッシリア人は、宗教上の行事や病気の手当て、そして病魔や悪魔祓いに香料を供え燻蒸や護摩を行っていました。(護摩:密教の秘法。不動明王などを安置し、護摩壇で護摩木をもやしながら祈とうすること)

古代エジプトではツタンカーメンの墓室から香壷が発見されました。香壷の一部にペースト状の練り膏が塗られており、ほのかな香りを漂わせていました。分析の結果、乳香であることがわかりました。

また、古代エジプト人は香料作りに豊富な知識を持っており、神仏への祈りをささげるときに使用していました。

日本では奈良県のマルコ山古墳から出土した人骨が芳香を放っており、その香りはショウノウ(樟脳)様で、優雅な香りであったことから高貴な方の埋葬に使われたのではと考えられています。この香りは分析の結果、リュウノウ(龍脳)であることがわかりました。

日本書紀には、スギ、ひのき、ヨショウ(クスノキの別称)などの植物が書かれています。推古天皇の時代(595年)に淡路島に香木が漂着し、島民が拾い焚やしたところ素晴らしい香煙が立ちこめたため、驚いて朝廷に献上したことが記されています。これが日本における香りの最も古い記録となります。

日本に香料が入ってきたのは仏教の伝来と同時期であったと考えられています。遣唐使などにより、ヨーロッパやアジアの文化が輸入されました。

天平から飛鳥、近江、奈良時代は、仏教中心の文化が栄えたため、香料は仏事への対象がほとんどであり、供香としてのみ使われていました。

エッセンシャルオイルの抗菌作用

古代エジプトでミイラ作りにミルラ、カシア、ガルバナムなどの芳香物質やシダウッド油が使用されていました。古代ローマでは肉の保存にコリアンダーやキャラウエイが用いられていました。

ギリシャ・ローマ時代には傷の化膿止めとして使われており、中世では疾病予防にラベンダーなどのハーブが使われていました。

14世紀には、フランキンセンセンスやパインが街頭にまかれ、17~18世紀かけてロンドンをおそった疫病の際にも多量の香煙が使われたことが歴史に残っています。

エッセンシャルオイルの抗酸化作用

食品が劣化したり、風味が低下するのは、食品に含まれている高級脂肪酸が活性酸素、あるいは、それに似た物質と反応して酸化するのが原因です。

そのため、古くからハーブやスパイスが使われてきました。ハーブやスパイスは、腐敗のもとにある微生物の繁殖も抑えることができます。抗酸化作用の知られているものには、クローブ(オイゲノール)、タイム(チモール、カルバタクロール)、パプリカ(カプサイシン)、セサム(セサミン)、セージ、ローズマリーなどがあげられます。

エッセンシャルオイルの日本名(和名)

エッセンシャルオイルの日本名をご紹介します。(※かっこ内が日本名)

  • ウィンターグリーン(冬緑油:トウリョクユ)

つつじ科の植物で北米、カナダが主産地です。サリチル酸メチルが90%を占めています。キャンディ、ガム、飲料などの香りづけ、あるいは歯磨きなどの口中剤として抗炎症作用があるので医療用としても使われています。

  • オリバナム(乳香:ニュウコウ)

カンラン科に属し、エチオピア、ソマリア、イラン、アラビア、エジプトが主産地です。フルーティーでピリッとしたスパイシーな香りです。アロマテラピー用として、心と身体の浄化に役立ち、不安を和らげます。

  • オレガノ(花薄荷:ハナハッカ)

ヨーロッパに自生するシソ科ハナハッカ属の多年草です。特にイタリア料理には欠かせないスパイスです。優れた消炎効果があり、古代エジプトでは腐敗防止目的で使用されていました。鎮痛作用もあります。

  • スイートオレンジ(甘橙:アマダイダイ)

北米、スペイン、ブラジルが産地で、最も多く栽培されているのがバレンシアオレンジです。果実飲料や香料や化粧品の香りづけなどに用いられるほか、医薬品の原料としても使われます。

  • カラムス(西洋菖蒲:セイヨウショウブ)

サトイモ科の植物で北半球各地、ヨーロッパ、ロシア、北アメリカ、インドが主産地です。フルーティーで甘ったるい香りがします。オイルは化粧品、食品類、特にリキュールの香りづけに使われます。菖蒲の根茎は生薬として、古くから芳香健胃薬、歯磨きの香味料として使われています。

  • カルダモン(小荳蒄/小豆蒄:ショウズク)

ショウガ科の植物で生産地はインド、スリランカ、ガテマラ。スパイシーでフルーティなバルサム様の香りがします。菓子やソース、リキュールなどの香りづけとして用いるほかに、果実は生薬として駆風(くふう)、強壮剤、芳香健胃薬として使います。

  • クローブ(丁子:チョウジ)

フトモモ科の常緑樹で、アフリカ東海岸のザンジバル島、ベンバ島、マダガスカル島、インドネシア、セイロン、ジャバが産地です。苦味のあるスパイシーな香りがします。開花前の花つぼみを採取し、乾燥させたものをクローブ(丁子)といい、生薬にします。殺菌作用があるので、歯痛などの口腔剤、消毒剤などの医薬品に使います。

  • サイプレス(西洋檜:セイヨウヒノキ)

ヒノキ科の常緑樹で、地中海沿岸が原産地で、フランス、イギリス、モロッコ、ドイツなどが主産地です。樹脂の重く甘い香りがします。ストレス解消、不眠症、強壮、関節炎、更年期障害などに効果があります。

  • サンダルウッド(白檀:ビャクダン)

ビャクダン科の常緑低木で東インド、南インド、マレー半島、チモール、ニューカレドニアが産地です。化粧品、石けんなどに使われています。ビャクダンは太古から燻香用として宗教儀式に使用された香木ですが、アロマテラピー用として神経の緊張と不安を除き、リラックスさせてくれます。また、肌をやわらかくして引き締める効果もあります。

  • ジャスミン(大花素馨:オオバナソケイ)

モクセイ科ソケイ属の常緑半つる性低木でアジア、アフリカ、ヨーロッパの熱帯から温帯に分布しています。温かみのあるフローラル調でジャコウのような香りがします。中国、台湾ではお茶の香りづけに使います。

  • ジュニパー(西洋杜松:セイヨウネズ)

ヒノキ科の常緑樹で、ハンガリー、フランス、クロアチア、カナダ、北アメリカが主産地です。ジンなどのアルコール飲料に使用されるほか、スパイシーノートの香水や化粧品、石けんや洗剤などに用いられています。精油は殺菌効果があり、アロマテラピー用には集中力を高める効果があります。

  • ジンジャー(生姜:ショウガ)

ショウガ科の多年性草木で、日本、南インド、中国、ジャマイカ、西アフリカが生産地です。パン類、菓子、ソース、ジンジャエイール、リキュールなどに幅広く用いられます。アロマテラピーでは筋肉痛、関節痛などに使われますが、刺激性が強いので注意が必要です。

  • スターアニス(大茴香:ダイウイキョウ)

モクレン科の常緑樹で中国南部、ベトナム、ラオス、インドが産地です。果実を乾燥させたものは八角(はっかく)、八角茴香(はっかくういきょう)とも呼ばれます。アニスに似たピリッとした鋭くて甘い香りがします。菓子やブランデーなどのドリンク剤、化粧品や石けん、香水などに使用されています。消化促進、去痰、口臭を防ぐ作用があります。

  • スパイクナルド(甘松香:カンショウコウ)

オミナエシ科の多年生草木で、インド、ネパール、ヒマラヤ、中国が産地です。根茎は甘松香または、スパイクナルドと呼ばれ、古来は重要な香料でした。聖書のなかに見られ、日本では「天平年間」に初めて甘松香の名前がでてきます。奈良時代の大安寺の資財帳にも甘松香の名があり、お香として使われていたようです。

  • ゼラニウム(匂い天竺葵:ニオイテンジクアオイ)

フウロウ草の草木で、レユニオン島、モロッコ、エジプト、アルジェリア、コンゴ、イタリアなどが主産地です。レユニオン産はブルボン種と言われ、最高級品とされています。日本でも瀬戸内海で島で栽培されていましたが、今では見られなくなってしまいました。しみとおるような甘いローズ様の香りがします。

  • ターメリック(鬱金、欝金、宇金、郁金、玉金:ウコン)

熱帯産ショウガ科に属し、中国、台湾、フィリピン、ジャバ、インド、日本に産します。食品香料とし、オリエンタル調の調合香料の原料となります。東南アジアでカレーに使われる香辛料で、クルクミンを含有し、着色料としても使われています。

  • タイム(立麝香草:タチジャコウソウ)

シソ科の植物で、南フランス、イタリア、トルコ、スペイン、モロッコ、イスラエルに産します。さわやかですっきりとしてハーブ調の香りがします。防腐、殺菌作用があるので、ソース、ドレッシングなどの香りづけに使います。そのほか、石けんやや歯みがきなどにも使われています。

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まとめ

古代から使われてきたエッセンシャルオイルは信仰との関係が深く、大変貴重なものでもありました。神仏への供養であったエッセンシャルオイルは、やがて医療や化粧品などの香料や調味料など、人々の生活に欠かせないものになりました。

エッセンシャルオイルに詳しくなれば、古代人のように自然の恵みを活かして生きる力が身につくかもしれませんね。

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