「亀の甲より年の功」良く耳にすることわざですが、知らずに失礼な使い方をしていることもあります。恥をかく前に正しい使い方をマスターしましょう。
そこで今回は「亀の甲より年の功」ということわざについてお話します。
「亀の甲より年の功」の失礼な使い方
年配の人が何かを成し遂げたときに自分で「まぁ~年の功だからね!」と言ったとします。その返しとして「さすが!亀の甲より年の功ですね!」と返したとします。使い方は間違っていませんが、返しとしては失礼に値するかもしれません。
年配者は、謙遜を含んでの発言だったら、そこに自分も便乗してしまうと、「爺さんだからね」と言われている気分になるかもしれません。無理にことわざを使おうとしなくても、「さすがですね!」くらいで返せば良いと思います。
会話の中にことわざを織り込むのはカッコ良いですが、少々難しい点もあります。話をしている相手との関係性をよく考えて、使うか使わないかの判断をしてみてください。
また、「年を取る」という意味で使うことも失礼にあたります。例えば、”亀の甲より年の功ともいうし、だんだん無理の効かない身体になってきたよね”といったように、ただ年を重ねることの例えではないので、注意してください。
「亀の甲より年の功」の意味
“人生を長く生きてきた年長ものの豊富な経験は、為になるものだから尊重すべき”という意味です。年長ものやお年寄りは、それだけ長い期間生きてきたので、それだけ経験も豊富で、それによって得た知識や知恵はとても尊いものです。ですので、それに耳を傾け、そこから多くのものを学ぶべきである。といったように、若者へむけて使われることが多いことわざです。
「亀の甲より年の功」の由来
まず「亀」は昔から、何万年と生きる長寿の生き物として有名です。亀に比べたら人間の長寿者は短いかもしれないですが、年長者の経験から身につけた知恵や技術は貴ぶべきだ、というところから転じて、年長ものの知識や知恵は尊重すべきだ、という意味になりました。「甲」と「功」は音が同じなので、リズムを良くするためにつけられたと言われています。
「亀の甲より年の功」の反対の意味を持つことわざ
・麒麟(きりん)も老いては駑馬(どば)に劣る
どんなに優れた人でも、年を取ると働きがにぶくなり、普通の人にも及ばなくなること。
・負うた子に教えられて浅瀬を渡る
熟達したものであっても、時には自分よりも経験の浅い者に物事を教わることもあるということ。
・出藍(しゅつらん)の誉れ
修業をしていた弟子が師匠を上回ってしまうこと。
「亀の甲より年の功」の類義語としては、
- 昔取った杵柄(きねづか):若い頃に身に付けた技量や腕前のこと
- 松傘より年嵩(としかさ):年長の者は経験が豊富で、判断が的確なこと
- 医者と味噌は古いほどよい :年月を経た古いものは貴重であり、経験が豊富なものは有用であるということ
などがあげられます。
「亀の甲より年の功」の例文
- 部長のお陰でトラブルにならずにすみました。やはり亀の甲より年の功ですね。
- おばあちゃんは知識が豊富で、さすが亀の甲より年の功だね。
基本的にはお年寄りや目上の人を褒め称えたり、敬意を表したりするときに使います。年を重ねていることをおちょくったりバカにしたりするときに使うのは間違った使い方なので覚えておきましょう。
まとめ
ことわざは一種の言葉遊びだと思います。ことわざの意味を考えるのも楽しいですし、逆に普段よく使う言葉の表現にはどんなことわざが置き換えられるのかを考えることも楽しいですね。今回お話した「亀の甲より年の功」ということわざは「おばあちゃんの知恵袋」なんて言葉にも置き換えられますよね。
新しいものがどんどん導入される昨今ですが、昔からの知恵や知識が見直され始めているのも現状です。年配者からの知恵や知識は、実際に経験して、生きてこられた証ですので、しっかり引き継いで、受け継いでいきたいですね。そして「ことわざ」自体も、この先もずっと受け継がれていくとうれしいです。