牛蒡は野菜なのに、なぜ「牛」という漢字が使われているのでしょうか。ちょっと驚くネガティブな花言葉、ことわざや慣用句について書いています。
牛蒡にはなぜ牛の漢字が使われているのか?
ごぼうは中国から薬草として渡来した植物です。漢語の「牛蒡」が語源になります。
中国では草木の大きなものに「牛」という漢字が使われます。「蒡」は「蕗(ふき)」に似ている植物で、フキよりも大きな植物という意味でこのような名前がついたという説があります。
また、もう一つの説に牛の尾に似ていたためという説もあります。
「牛蒡」の「牛」の「ご」と読むのは、呉音(ごおん:漢字の音読みのひとつ)「グ」の慣用音(かんようおん:日本で一般に使いならしてきた漢字の音)「ゴ」で、旧仮名遣いでは「ごばう」と表記していました。
牛蒡の歴史
牛蒡は中央アジア原産のキク科の二年生草木です。日本では縄文時代に大陸から渡ってきました。世界的に見ても牛蒡を食用として発展させてきたのは日本だけです。
外国人には木の根と間違えられることもある牛蒡ですが、日本の近畿地方のお祭りには神に献上する儀礼食物でもあります。
戦時中、外国人捕虜に牛蒡を与えたところ、木の根を食べさせられたと誤解され、戦後に虐待の罪で処罰されたという逸話もあります。
牛蒡の中国名(漢名)は「悪実」でした。初めて記されたのは「名医別録」です。牛蒡の根・茎・種のすべてが利用できる薬効について書かれています。
「悪実」という名の由来は形状が悪くトゲが多いために、そう呼ばれていたようです。
牛蒡が作物として「牛蒡」と表記されるようになったのは、「四時纂要」(唐末五代の歳時記)からです。
中国では古くから野生の牛蒡を薬用として使い、現代では栽培した牛蒡の種子を薬用として使っています。野菜として栽培しているのは一部の地域であり、日本への輸出向けの野菜として作られています。
日本の祭りには、五穀豊穣と子孫繁栄を祈る「ごぼう講」(福井県越前市)、「ごんぼ祭り」(三重県津市)、「牛蒡喰行事」(奈良県桜井市)などが行なわれており、牛蒡が神事のメインとなっています。
また、正月には「たたきごぼう」が祝いの膳に上り、宮中の正月節句には牛蒡をはさんだ「菱葩(ひしはなびら)餅」が供せられます。
菱葩餅は、ごぼうと白味噌餡とピンク色の餅を、餅もしくは求肥で包んだ和菓子で「花びら餅」ともいいます。
このように日本各地で、正月や祭り、行事、盆の食物として、さらには慶事、仏事、厄除けの儀礼食として牛蒡が使われるようになりました。
ごぼうの花言葉
牛蒡はアザミと同じキク科の植物で、アザミに似た花を咲かせます。
イガの付いた実をつけ、蕾(つぼみ)にはトゲがあるなどの特徴があることから「私にさわらないで」という花言葉があります。
ほかには「しつこくせがむ」「不作法」「頑固」「用心」「警戒」などの花言葉があります。
かつて「悪実」と呼ばれていたためか、花言葉もネガティブなものばかりですね。
ごぼうのことわざ・慣用句
- 人の牛蒡で法事する
他人が持ってきた牛蒡を用いて法事のための精進料理を作るということで、他人の物を、利用したり他人のすることに便乗したりして自分のやるべきことを済ませることのたとえです。
類語に「舅の物で相婿もてなす」「他人の念仏で極楽参り」「他人の賽銭で鰐口叩く 」「人の褌(ふんどし)で相撲を取る」「人の堤燈で明かりをとる」などがあります。
- 牛蒡抜き
牛蒡抜きは3つの使い方があります。
- 牛蒡の根を土中から引き抜くように、一気にぐいと抜き取ること。
- 多くの中から一つずつ順々に抜き去ること。
- 競走などで数人を一気に追い抜くこと。
土の中に入っている部分が多いせいか「引き抜く」イメージが強い言葉ですね。
まとめ
牛蒡に「牛」の漢字が使われているのは、牛蒡が牛のしっぽのようであるからという説と牛蒡の葉が大きいフキの葉のようであったために、大きいを表す「牛」を使っているという説があります。
牛蒡は縄文時代に大陸から渡ってきた食材で、最初は薬用でした。
外国人には木の根と誤解される牛蒡ですが、日本においては神事に使われます。
トゲがあることから花言葉もネガティブなイメージが多いようですが、日本の食卓には欠かせない食材となっています。