麝香(じゃこう)って、どんな香り?なぜ香りは記憶に残るの?

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麝香(じゃこう)の香りは女性に人気がありますが、いったいどんな香りなんでしょうか。また、香りが記憶に残る理由について書いています。

女性に人気のある香り「麝香(じゃこう)」

麝香(じゃこう)は英名を「ムスク」といいます。

ムスク系の香りは、アニマルノート(動物性香料)の中ではもっとも日本人に好まれる香りです。色のイメージでいうと白、洗濯用の洗剤に使われているため、清潔感のあるイメージがあります。パウダリーで、洗練された大人の香りで温かみがあり、人の肌の様な懐かしさも感じられます。

アニマルノートは麝香の他に、
・龍涎香(りゅうぜんこう)/ アンバーグリス:抹香鯨(まっこうくじら)の腸内結石
・霊猫香(れいびょうこう)/ シペット:ジャコウネコの精嚢腺(せいのうせん)からとれる香料
・海狸香(かいりこう)/ カストリウム:ビーバーの精嚢腺(せいのうせん)からとれる香料

などがあり、時には強壮剤として、またあるときは媚薬として利用されてきました。

アニマルノートは非常にセクシーで重厚な香りがするため、異性を惹きつける効果があると信じられてきたようです。

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楊貴妃は身体から芳香を発するは体質であったといわれています。ペルシア系で元々体臭があり、その体臭が魅惑的だったという説や逆に体臭を消すために麝香などの香料を丸薬にして服用していたために魅惑的な香りがしていたという説もあります。

麝香はどんな香料かというと、チベットやヒマラヤなどに生息する麝香鹿のオスの生殖器の分泌物です。香りの成分をためる発情期に狩猟し、採取します。

麝香の匂いをそのままかぐと後頭部を殴られたような強烈な刺激臭があります。しかし、エチルアルコールなどの溶媒で希釈していくと次第に香りがまろやかになり、持続性のあるセクシーな香りになってきます。香水などに配合する際は100倍から1000倍に希釈して使用されます。

麝香鹿(じゃこうじか)と抹香鯨(まっこうくじら)は「絶滅の恐れのある野生動物の種の国際取引に関する条約」によって保護されており、これらからとれる香料はほとんど入手不可のため、現在はほとんどが合成香料です。

香りで誰だかわかる薫衣香(くのえこう)

平安時代の宮中では自分が作った香りの優劣を競い合わせる「薫物(たきもの)合わせ」という遊びが流行しました。オリジナルの香りを衣服に炊き込める「薫衣香(くのえこう)」も盛んに行なわれていました。

清少納言の枕草子では、宮人の男性が寄りかかった御簾(みす)に衣服の香りがうつり翌日まで残っていて若い女性たちが騒ぐ場面がでてきます。御簾(みす)とは、綾(あや)などで縁(ふち)を取った、目の細かいすだれのことです。

当時の宮人の男女は常に御簾で隔てられていて、顔を合わせられない分、御簾ごしに聞こえてくる音や声、漂ってくる香りから、相手の容姿や人柄まで想像して心をときめかせました。

また、源氏物語には光源氏や薫、匂宮が通っただけでその人とわかる匂いに女性たちが一喜一憂した話もあります。

現代では考えられないロマンチックな話ですが、高貴な人たちにとって香りは欠かせない存在だったようです。

香りが呼び起こす記憶

香りで何かを思い出した経験はないでしょうか。たとえば誰かとすれ違った瞬間に、その人の香りで昔の恋人を思い出した…。こんな話をよく聞きますね。

香りで呼び起こされた記憶は、驚くほど鮮明です。それは、なぜなのでしょうか。

匂いの情報は、目と耳から入ってくる情報と同じで、脳の後ろのほうにある海馬と呼ばれる部分にいったん送られます。

繰り返しインプットされる情報は大切な情報として大脳皮質や小脳に送られ保存されます。しかし、匂いの記憶は嗅細胞からこの海馬に送られてきたまま、そのままの状態で記憶されていることが多いのです。

そのため、匂いが海馬から古い記憶を呼び起こさせ、それに関連した景色や状況がページをめくるように次々とよみがえってくるのです。

ただし、良い香りが必ずしも良い記憶であるとは限りません。香りとともに悲しい出来事やつらい思いまでリンクされていたら、その香りをかぐことで無意識に気持ちが沈んでしまうこともあるのです。

香りには、その人の個人的なバックグラウンドを調べておかないと本来期待できる香りの精神的効果も半減してしまうことがあります。

誰にでも好まれる香りを探すことは、なかなか難しいことです。ですので、好きな香りを探すときは、ご自身の鼻を信じて色々試してみるほかに方法がありせん。

試しているうちに、懐かしい香りの記憶が海馬から現れることもあるかもしれませんね。

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あとがき

麝香はアニマルノートの中でも、一番日本人に好まれる香りです。楊貴妃も好んだのには、それなりの理由もあったようですね。

平安時代の日本でも、香りは貴族に欠かせない存在であったようです。江戸時代に入ってから庶民の生活も安定し、それまで香りとは縁遠い生活であった人たちの間でも次第に取り入れられるようになりました。

その後、明治維新によって古い文化は排斥されましたが、皮肉にも西洋人によって、再び日本独自の文化が注目されるようになり香りの文化が復活しました。

普段香りが苦手と感じる人も、何かの拍子にふわっといい香りと感じる出合いがあるものです。昔の記憶から、好きな香りが見つかるといいですね。

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