七福神の中で唯一実在する人物「布袋」の袋の中には何が入っていた?

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七福神の中で唯一実在する人物「布袋」がいつもかついでいる袋の中には、いったい何が入っていたのでしょうか。そして、どこの神さまなのでしょうか?

布袋の袋の中身はなに?

布袋は七福神の中で唯一実在する中国の人物で、禅宗の僧侶です。本来の名前は釈契此(しゃくかいし)といいます。

当代末期の明州奉化県(現在の浙江省寧波市)に生まれました。常に袋を持っていることから布袋尊とよばれるようになりました。大きな袋と大きくつきだしたお腹が風情があり、姿そのものが信仰の対象となりました。

かなり変わった僧侶であったそうで、酒や肉、魚などの生臭ものも食べ、施(ほどこ)しをうけては袋の中にしまっていたと伝えられています。

また、袋の中には所帯道具一式がはいっていて、寺に住むでもなく、大きな袋をもって各地を泊まりあるいたそうです。

七福神はどこの国の神さま?

七福神の信仰は日本固有のもので、室町時代に人々の間からひろまっていきました。興味深いのは日本の神だけではなく、インドや中国の神が仲良く同じ船に乗っていることです。

それぞれの神の出身は、

インドの神:毘沙門天、大黒天、弁天
中国の神:寿老人、福禄寿、布袋
日本の神:恵比寿

と、なっています。それぞれが明瞭な役割を持ち民衆の守護人なのです。

それでは、それぞれの神さまについてみていきましょう。

  • 布袋(ほてい)

布袋は不思議な力をもっていて、空模模様や吉凶の予知にすぐれた能力があったと伝えられています。寛容で度量の大きい和合を重んじることから笑門来福、夫婦円満、子宝の神として信仰されています。

雪の中で横になっても布袋の身体の上にだけは雪がつもらず、濡れることがなかったという逸話も残っています。

他の地域でも布袋の話が伝えられていて、布袋尊の姿を船に描く習慣が中国の江南地方にひろまりました。

それからは、弥勒といえば布袋のことをさすようになり、仏堂の本尊に弥勒菩薩として祀られるようになりました。

萬福寺

日本でも黄檗宗(おおばくしゅう)の大本山萬福寺(京都)で、布袋の弥勒仏像を見ることができます。

  • 恵比寿(えびす)

恵比寿は七福神の中で唯一、日本の神様です。福の神というイメージは比較的あたらしく、中世以降だとされています。

蛭子命(ひるこのみこと)というイザナギ、イザナミの子の神が由来だという説と大国主命(おおくにぬしのみこと)の子である事代主神(ことしろぬしかみ)とする説があります。

そのため、おなじ恵比寿さまを祀る神社でも、場所によって祀られている神が違うことがあります。七福神として知られる恵比寿は、右手に釣竿、左手に鯛をかかえた猟師の姿で描かれています。

これは、海の向こうのからくる水の神だったということと関連しています。そこから海の幸の売り買い→商売繁盛の神として慕われるようになりました。

  • 毘沙門天(びしゃもんてん)

毘沙門天は四天王の一人で、多聞天の別名です。もともとはインドの武将の神であったため、日本においても強い武力で貧乏神をおいはらってくれる神様として信仰されています。

災いを除く軍事の神であることから、勝負事の守護神でもあります。四天王のときは多聞天と呼びますが、七福神としては毘沙門天と呼びます。

いずれにしても、甲冑(かっちゅう)を身につけ、宝塔・宝棒・戟(げき)などで武装したきりっとした勇ましい姿であらわされます。

  • 大黒天(だいこくてん)

大黒天はヒンズー教のマハーカラーという神でした。これは、シヴァ神の別名で、マハーが「大」、カーラが「黒」を意味するので「大黒」の名がつきました。大黒は破壊と豊穣(ほうじょう:五穀がゆたかにみのること)の神として信仰されていました。

そのため、日本に入ってきたときは、破壊の神らしく憤怒の形相に武装した姿の神でした。しかし、日本では「だいこく」が「大国」に通じることから、昔からの日本新道の神である大国主と混同されて習合していきました。

これに加え、インドのラマ教では台所の守護神だったことも影響して、のちに豊穣の神、台所の神という要素が強くなっていきました。

七福神としては、大きな袋を肩にかけて、打ち出の小槌(こづち)をもった体格のいい神さまとして知られています。米俵に乗ってニコニコしている福の神、家計の神さまです。

袋をかついでいるのは大国主が因幡(いなば)の白うさぎの説話で八十神(やそがみ:大国主神の兄弟)たちの荷物を入れた袋をもっていたことに由来しています。

  • 福禄寿(ふくろくじゅ)

福禄寿という名前は道教の教えにある3つの願いからきています。道教では、幸福・封禄(ほうろく:貴族や寺社、官人らに支給された給料のこと。俸禄とも)・長寿の三徳をもとめていくものとされ、それがそのまま名前になりました。

宋の道士天南星の化身だとも、南極星の化身(南極老人)ともいわれ、七福神の寿老人と同体の神とされることも多いようです。

七福神として知られる福禄寿は、鶴と亀をしたがえた長い白ひげをたくわえた背の低い老人の姿であらわされます。人徳や寿命についてご利益をさずけてくれるとされています。

中国においては、鶴・鹿・桃で福・禄・寿を象徴した三体一組の神像や、コウモリ・鶴・松によって福・禄・寿をあらわした絵が残されています。

  • 弁財天(べんざいてん)

七福神の中で唯一の女性である弁財天は、ヒンズー教の女神、サラスヴァティーでした。聖なる河という意味でインドでは河の神でした。日本でも水に関係のある場所に祀られていることが多いです。

梵語の河の流れる音から、さらに音楽の神ともみなされ、「弁舌=智慧の神」という信仰もあります。

経典には「弁才天」と書かれていますが、日本では「才」が「財」に音に通じることから「財宝=福の神」のみなされるようになり「弁財天」と表記するようになりました。「弁天」ともよばれています。

仏像の題材としても人気があり、奈良時代のハ臂(はつび:腕が8本)の立像がいまも東大寺に残されています。

  • 寿老人(じゅろうじん)

寿老人は杖をつき、うちわをもって鹿をつれた姿で表現されます。

福禄寿と寿老人は、ともに南極老人の化身とされるため、この二者を同一とされることがあるので、時代によっては寿老人をいれずに吉祥天や猩々(しょうじょう:中国の伝説上の動物)、稲荷(日本の穀物の神)を七福神としてかぞえている場合もあります。

お酒が好きな老人で使いの鹿の肉を食べたものは二千年生きられるといわれています。

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まとめ

福の神として人気がある七福神。大きな袋をかついだ布袋は中国の実在する僧侶がモデルになっています。トレードマークになっている袋の中身は施しを受けた食べ物や所帯道具だったようです。

七福神にはもろもろのエピソードがありますが、縁起のよい神さまが7人乗り合わせた船はご利益もたくさんありそうですね。

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